研究実績の概要 |
界面活性剤ミセル中に精製したETBRをapoA1ナノディスクに再構成できるシステムを確立した。変異体ETBRは、dodecylmaltoside (DDM)ではなく、dogitoninで可溶化精製することで、その回収効率が上がることがわかった。また、受容体の再構成効率は、数%程度のリポソーム法に比べて、10倍程度向上した。ET-1-ETBR複合体およびligand-free ETBRの解析構造の比較から示唆されている、W336A(6.48)変異体やN378(7.45), N382(7.49)変異体をナノディスクに再構成して、活性化構造をGタンパク質活性化能で評価した。その結果、これらの残基が活性化構造への変化や不活性化構造維持のための分子内相互作用ネットワーク形成に重要であることが明らかとなった。 ETAR/ETBR二量体ナノディスクは、H26年度アッセイを行える十分量を回収することができなかった。界面活性剤中で二量体はできないために、それぞれの受容体を十分濃い濃度で混合する必要があったが、ETARをその状態に調製することができなかった。これらの蓄積から、ETAR自身を十分量、発現精製するシステムを作ることが必須であることが明確となり、この方向に研究を転換した。まず、ETARの発現量が上がる変異体の探索、ETARの回収量を上げる精製法を検討した。目下、検討中であるが、細胞外ループにある残基の変異によって、発現量が数倍上昇することがわかった。また、細胞破砕液中の膜すべてを可溶化することによって、回収量を上げる可能性があることがわかった。これらの知見を基にさらに、ヘテロ二量体ナノディスクの単離を試みる計画である。
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