研究課題/領域番号 |
26640107
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
秋山 暢丈 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00338865)
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研究分担者 |
斎藤 三郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (10186934)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | CTL / 糖鎖修飾 / アジュバント / 癌抗原 |
研究実績の概要 |
OVA蛋白質を改変したモデル蛋白質による発現クローニングの条件の決定の為、前年度に作成したベクターを用いて、大腸菌、ヒト哺乳類細胞によって、抗原蛋白質を発現させ、カチオン性リポゾームと混合し、マウスへの免疫を行い、CTL誘導能を計測した。 その結果、ヒト由来、大腸菌由来のOVA蛋白質はニワトリ由来の抗原よりもCTL誘導能が低い事が確認され、様々な糖鎖修飾酵素の阻害剤の存在下で発現した抗原もCTL誘導能の違いが認められなかった。 本課題のアジュバントを用いるに当たって、ニワトリ由来の糖鎖構造が重要であることが確認されたため、ニワトリ細胞を用いるレトロウイルスを用いた発現系の確立し、評価を行っている。 cDNA抗原のスクリーニングの為のライブラリー構築に関して、前年度で作成したベクターはコザックルールの関係もあり、モデルcDNAでは良好に変換できたが、実際に複数のクローンをバルクで変換するには、変換効率が足りなかった。大きな問題はカナマイシン耐性に関連した形質転換効率の低さであり、これを克服する為、両薬剤耐性を持つ発現ベクターを作成し、カナマイシンで選択した際にアンピシリンを用いた時と同じ効率を示す事が確認された。 一時ライブラリーのバルクでの増殖でクローン間の増殖の差が問題となっているが、この問題を克服できるかどうか評価を開始した。 本アジュバントを用いた際の糖鎖構造の重要性が確認されたため、より強力なCTL誘導能を持つ蛋白質抗原を作成する事が細胞融合により可能になるとの治験が得られたので、そのモデル系として蛍光たんぱく質と薬剤耐性が異なるレトロウイルスを作製した。細胞に導入後、細胞融合法の確立とCTL誘導の評価を開始しており、癌免疫の為の新しいワクチン手法の確立を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
一番重要な理研のファントムライブラリーのバルクでの発現ベクターへの変換がライブラリーのプラスミドを含んだ大腸菌の割合が異なる事、およびコザックルールによりSfiIのみの入れ替えでは目的のcDNAが発現できない事などの理由によりcDNAのバルク処理によるライブラリーの変換が困難である事が判明したが、新しいベクターと変換の手法の開発に時間がかかった。 しかしながら、細胞融合による新しい癌免疫誘導法の可能性が浮かび、実用的な手法の開発が期待でき、効率的な開発が必要とされる。
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今後の研究の推進方策 |
主要な課題でありルーチン的な仕事で結果が出せるcDNAによる癌抗原の発現クローニングを進める事が特に大切であり、最大限の効率が必要と考えている。 当課題のアジュバントを用いた際の、ニワトリ由来の糖鎖構造の有用性が確認されたため、この知見を最大限活用した細胞融合に関連した抗原作成法および新しい癌抗原免疫法の開発も進める事とする。 計画がかなり遅れている為、スクリーニングも考慮して、一年研究期間の延長も考慮して、必要な実験に注力する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
発現cDNAライブラリ―の変換が遅れたことによる、スクリーニングの遅延が生じた。このスクリーニングが主要な研究テーマである事から、除外する事が出来なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
発現cDNAライブラリ―の変換に続くスクリーニングが主要な研究テーマであり、コスト的にも大きなウェイトを占める為、次年度以降のスクリーニングで使用する予定である。
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