カチオン性リポソームと共に免疫し、癌免疫を誘導させる蛋白質抗原を決定する為のcDNAライブラリーの構築を試みた。元のライブラリーの変換に適した構造を持ち、高効率に抗原を発現させるエピゾームベクターを作製した。元のライブラリーの構造による問題があり、解決を試みたが、発現ベクタ―へのバルク的な変換を行う事が出来なかった。 その為、cDNAスクリーニングを行う事が出来なかった。 その為、自殺遺伝子療法を用いたCTL誘導法の検討を行った。 C57BL/6由来のマウス大腸癌であるMC38細胞に自殺遺伝子(チミジンフォスファターゼ、もしくは単純ヘルペス由来のチミジンキナーゼ)をステーブルに発現させた細胞を樹立した。この細胞をC57BL/6マウスの皮下に移植し、腫瘍を形成させた後に対応する薬物をマウスに投与し、腫瘍を消失させた所、移入した細胞に対するCTL活性が誘導されていた。また、この抗腫瘍活性は導入した自殺遺伝子に対してのみでなく、遺伝子導入前の親株であるMC38に対しても抗腫瘍活性を持っており、再移入に対して拒絶を行った。また、自殺遺伝子とOVA蛋白質を同時に発現させて、マウスに移植し、治療を行うと、腫瘍の拒絶を行うようになると共に、OVAのMHCクラスIエピトープに対するCTLの活性も誘導されている事を確認した。また、このCTL活性は3か月以上も保持されていた。 本課題で用いているリポソームはTh1優位に免疫を誘導する事が判っているため、全細胞抽出液と共に免疫する事により、自殺遺伝子を用いたCTL活性の増強効果が見込めるため、併用した治療法の開発の有用性が示唆された。
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