血小板は腫瘍増殖や転移を促進している。しかし、抗血小板抗体投与により血小板除去を行うと腫瘍体積の増大という想定外の現象を観察したため、その分子機構解明を試みた。 抗血小板抗体投与群とコントロール群より腫瘍を摘出してmRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行なったが、腫瘍増大に繋がる可能性がある遺伝子は特定されなかった。免疫染色の結果、抗血小板抗体投与により血管新生が促進されていたため血中PDGF濃度を測定したところ、予想に反して減少していた。使用した抗血小板抗体には弱い血小板凝集誘導活性が認められたため、この血小板凝集に伴い放出される何らかの増殖因子が腫瘍増殖を誘導している可能性が示唆された。
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