研究課題
本研究では、ストレス関連障害マウスを対象に、ストレス関連障害と脳内変動に相関する血漿タンパク質の変動を分析し、ストレス関連障害との相関を解析することを目的としている。(1)血漿中の高濃度タンパク質3種類を除去するカラムと独自に開発した血漿タンパク質分画法(3分画に分画)を組み合わせた血漿タンパク質の前処理法を確立した。また、この方法で分画した血漿タンパク質をトリプシン消化して、安定同位体標識試薬の一種である Isobaric Tag を標識して6種類の試料を高精度に比較分析する方法を確立した。この方法を平成27年度とは異なるセットの不安障害を示すピロカルピン投与マウスと、うつ様症状を示す慢性ストレス負荷マウスの血漿に応用し、不安様行動の回復ならびにうつ様症状にともなう行動変化(明所存在比率、移動距離)に相関した複数のタンパク質の探索に成功した。(2)モデルマウス脳組織中のタンパク質の変動解析:うつ様症状を示す慢性ストレス負荷マウスの視床下部について、可溶性タンパク質分画と難溶性タンパク質分画をそれぞれトリプシン消化してIsobaric Tag標識後にイオン交換カラムで再分画しLC-MS分析を行った。その結果、うつ様モデルで発現量が変化するペプチドが784種見出され、そのうちヒトの軽いうつ様症状にも効果を示す香蘇散煎剤(KS)投与により回復するペプチドが235種検出された。そして131種のペプチドが無動時間と相関することが明らかとなった。これらのペプチドからsynaptosomal-associated protein 25やmyelin-associated glycoproteinなど56種のタンパク質が同定された。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 産業財産権 (3件)
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