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2014 年度 実施状況報告書

母性プログラムにおけるmRNA前駆体スプライシング制御の役割

研究課題

研究課題/領域番号 26640128
研究機関神戸大学

研究代表者

井上 邦夫  神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40252415)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード発生分化 / 母性プログラム / スプライシング
研究実績の概要

多くの動物の胚発生初期には、接合体ゲノムからの転写が開始しておらず、卵形成過程に供給された母性mRNAが中心的役割を担う。近年、ゼブラフィッシュ受精卵において、Nodalタンパク質をコードするsquint遺伝子のmRNA前駆体がイントロンを保持した状態で存在していること、卵割が進行して16細胞期胚になるとイントロンが除去された成熟mRNAが生成し、翻訳されることが示唆された。そこで本研究では、この報告を踏まえ、ゼブラフィッシュ受精卵の核内にmRNA前駆体として保持され、適切なタイミングでスプライシングされるさまざまな母性転写産物が存在しているのではないかとの着想のもとで、(1)受精卵においてイントロンを含んだ母性転写産物をゲノムワイドに探索するとともに、(2)mRNA前駆体がスプライシングを受けない状態で保持されている機構、および、その状態が解除されてスプライシングが行われる過程に働くシス制御配列を明らかにすることを目的としている。
平成26年度は、squint遺伝子のゲノムDNA断片をクローニングしてレポーター遺伝子を作製し、squintにおけるスプライシングを検討した。CMVプロモーターを連結したレポーター遺伝子DNAをゼブラフィッシュ受精卵にインジェクションすると、接合子開始期から効率よい転写・スプライシングが観察された。また、ヒト培養細胞に導入した場合にも同様の結果を得た。一方、in vitro合成したsquint mRNA前駆体を受精卵にインジェクションした場合にも、効率よくスプライシングが起こることが観察されたことから、接合子期開始前のスプライシング抑制には、卵母細胞内であらかじめ相互作用する因子が働いている可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初計画に従ってゼブラフィッシュsquint遺伝子のゲノムDNA断片を用いてレポーター遺伝子を作製し、squint mRNA前駆体におけるスプライシングを検討したが、受精卵へのインジェクションでは接合子期開始前のスプライシング抑制を再現することが出来ていない。また、イントロンを含む転写産物のゲノムワイドな同定については、前段階の準備・検討を行っており、次年度にRNA-seq解析に取り組むこととした。

今後の研究の推進方策

母性squint mRNA前駆体におけるスプライシング抑制を再現するために、Tol2トランスポゾン系を用い、レポーター遺伝子を母性発現するトランスジェニック系統を作成することによっ再現系の構築を行う。
また、ゼブラフィッシュの接合体ゲノムからの遺伝子発現が開始する中期胞胚期以前の発生段階の初期胚から全RNAを抽出してRNA-seq解析を行い、イントロン領域に高効率でマップされる遺伝子群を同定することで、mRNA前駆体の状態で保持されている母性転写産物のゲノムワイドな探索を進める。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していたイントロンを含む転写産物のゲノムワイドな同定を次年度に実施することにしたため、解析に必要な試薬等の経費を次年度に使用することとなった。

次年度使用額の使用計画

平成26年度に計画していたイントロンを含む転写産物のゲノムワイドな同定のため、RNA-seq解析の試薬等に使用する。

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公開日: 2016-05-27  

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