研究課題
本研究課題のタスクは以下の4点である。1. 電気式焦点可変レンズを用いた高速・高精細三次元 1 分子測定システムの構築2. 上記三次元 1 分子測定システムを用いた EB1 複合体の三次元動態の計測3. 三次元パーティクルトラッキングソフトウェアの実装4. 上記 3 点を統合した、細胞分裂期における微小管のダイナミクスの解析平成26年度には上記1.及び2.を行った。本研究課題にて採用した電気式焦点可変レンズ(Optotune社 EL-10-30)は電気的にレンズの焦点距離を調節が可能である。EL-10-30は制御用ハードウェアに接続され、USB を経由してコンピュータ制御が可能となっているが、現状では Optotune 社が提供するソフトウェアからのみ制御が行える状態であり、また実装言語の都合上、画像処理の結果を反映した上で高速に電気式焦点可変レンズの制御を行うことは不可能であった。そこで平成26年度ではレンズの焦点を制御するソフトウェア (ドライバ) を開発し、C言語で記述されたプログラムから直接制御を行うソフトウェア基盤を構築した。電気式焦点可変レンズを当研究室所有の Olympus IX81 顕微鏡の対物レンズに組み込み、制御用ハードウェアを顕微鏡制御用PCに接続し、焦点の制御を行うことに成功した。また、焦点移動における時空間分解能の測定を行い、本システムが目標とする時空間分解能を達成していることを示した。
1: 当初の計画以上に進展している
当研究課題の最大の特徴である、標本を動かすのではなくレンズの焦点を変化させることで異なる断層画像を撮影し、完全にコンピュータ制御の元で測定を行うシステムを構築することに成功した。また、当該年度の研究成果は学術論文誌に採択された。
平成26年度に構築した三次元1分子測定基盤を用い、チューブリン結合タンパク質 EB1 複合体-GFP 改変タンパク標識分子を導入した Hela 細胞の観察を開始する。一方で、得られたEB1複合体断層画像から三次元画像を再構成し、EB1複合体の動態を追跡・解析する三次元パーティクルトラッキングソフトウェアの実装を行う。提案者らはOlympus IX71 を基盤として開発された DeltaVision システムを用いて、蛍光標識した EB1 複合体 について二次元的及び三次元的に経時変化を撮影した経験があり、二次元の画像に関してパーティクルトラッキングを行ったデータの一部は論文として発表している。DeltaVision システムを用いて三次元的に EB1 複合体の動態を追跡した経験から、三次元トラッキングに必要となる時間分解能、空間分解能の具体的な数値は得られている。平成27年度はDeltaVision システムでは成し得なかった時空間分解能を達成すべく測定系のチューニングを行う。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Review of Science Instruments
巻: 86 ページ: 013707
10.1063/1.4905330