研究課題
平成26年度にて電気式焦点可変レンズを用いた高速・高精細三次元1分子測定システムの構築、及び三次元1分子測定システムを用いたEB1複合体の三次元動態の計測が完了したため、平成27年度は3次元トラッキングソフトウェアを用いて細胞分裂期における微小管ダイナミクスの解析を行なった。具体的には、蛍光ビーズの3次元1分子トラッキングを行うことでin vitroでの拡散現象を測定し、その後 in vivo (Hela細胞)において微小管先端に結合するタンパク質であるEB1の3Dトラッキングを行った。in vitroの測定ではtime-averaged MSDを用いて異常拡散係数を算出し、本システムを用いて拡散現象を正確に捉えられているか評価を行った結果、シミュレーションにより予測された異常拡散係数(0.83)と同等の値を取得できていることが確認された。またトラッキング結果からlifetimeと平均速度を算出し、2Dトラッキングとの比較を行った結果、lifetime、平均速度において3Dトラッキングでの結果に増加が見られたことから、3次元トラッキングを行う有用性を示すことに成功した。本研究課題の目的であるin vivoにおけるEB1の3Dトラッキング結果より、EB1のlifetime、平均速度は2Dでの計測と比較して平均速度は増加しているが、lifetimeに関しては減少していることが分かった。lifetimeが減少した理由として、蛍光褪色の影響により十分な長さを持つEB1のトラックを取得できなかった点が挙げられる。今後は長時間観察を可能とする実験系構築、紡錘体結合タンパク質の機能解析が挙げられる。また、細胞分裂における力学モデル構築への応用も期待される。
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