研究実績の概要 |
当初の計画に従いモデル代謝系の構築(遊離の酵素)に関する実験を以下のように実施した。 1.Acetyl-CoA以後の抗マラリア薬剤の人工合成経路の初期の3種類の酵素(ERG10, ERG13, tHMG1)すべてについて大腸菌無細胞系にて発現系を構築したところ、すべて可溶性に発現が確認され、Hisタグにて精製された酵素標品を得た。2.すべての基質および中間産物(Ac-CoA, AcAc-CoA, HS-CoA, HMG-CoA, NADPH, Mevalonate, Mevalonate 5-Phosphate)についてNMR測定を行い、酵素反応をモニターする際のリファレンス・スペクトルを取得した。3.各酵素のそれぞれについて試験管内で1H-1次元NMRおよび13C-1H HMQCの時間変化を観察し、リファレンスと比較することで、想定された酵素反応が確かに進むこと、および、その反応の時間変化をNMRで非破壊的・継続的に追えることが確認された。4.上記反応系で、特に、Ac-CoA ←→AcAC-CoAについては平衡が逆反応(Ac-CoA側)に大きく偏っており、順反応よりも副反応のモデルとして有用であることが判明した。5.正反応のモデルとして新たな酵素NphT7を追加で設計し、他の酵素同様に必要となる酵素の発現系の構築、酵素の調製を行なった。6.NphT7についてもその基質(malonyl-CoA)のリファレンス・スペクトルを取得するとともに、NMRにより酵素活性が確認された。 上記により4種類の酵素からなる正副反応をもつモデル代謝系の構築(遊離の酵素)に関する実験が終了した。
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