研究実績の概要 |
本研究の目的は複数の酵素からなる複合酵素の、各要素の発現量および空間配置の調節・最適化に関する基本的な仕組みを構築することにある。前年度(H26年度)に遊離の酵素によるモデル代謝系の構築に関する実験が終了したため、今年度(H27年度)は各酵素が特定のDNA配列に配置されるよう、事前に設計されたDNA配列に結合するTALエフェクターとの融合タンパク質(TAL酵素)の発現系構築に取り組んだ。
まず結合される20塩基対(TACTCTATCATTGATAGAGT)のDNA配列を設計した。それを基に異なる変換規則(i.反転(3'-5'を入れ替える), ii 置換(A->T, C->A, T->G, G->C), iii置換かつ反転)により直交性が担保された4種の結合配列を認識するTALエフェクターを設計した。次にGFPレポーターおよび前年度に検討したモデル系の酵素4種(ERG10, ERG13, tHMG1, NphT7)の対象遺伝子について、TAL酵素の大腸菌発現用の発現コンストラクトを作成した。これらを大腸菌の発現株BL21(DE3)株を形質転換したところ、残念なことに、検討したコンストラクトはいずれもコロニーが得られなかった。原因を調査したところ、発現されたTAL酵素(タンパク質)による細胞毒性が原因と考えられる証拠を得たため、現在は細胞毒性軽減するために、コンストラクトの再設計による低毒性化、高制御発現菌株の導入、無細胞タンパク質合成系への移植などの条件を検討している。
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