研究課題
本研究では、これまで複雑な生命システムの内部構造を、理解可能な形で定量的に記述することを目的とし、再構成型無細胞タンパク質合成システムであるPURE systemにおける様々な過程において、特徴的なmRNA配列を次世代シーケンサーによって網羅的に解析する基盤を構築してきた。本年度は、開始複合体の下流をランダム化した合成mRNAを用いた上、伸長因子や各種tRNAなどを添加し、開始反応以降を行わせた後、翻訳産物に対してアフィニティ精製を行うことによってリボソームにトラップされる形でmRNAを精製し、得られた配列の次世代シーケンス解析を行った。その結果、開始複合体の形成から翻訳の伸長にいたる過程において効果的な配列、または阻害的な配列集団の特徴抽出を行うことができた。これらの配列集団の特徴と、前年度までの研究において得られている開始複合体形成に効果的または阻害的な配列集団の特徴との相違をさらに明らかにするため、これまでは転写したmRNAを用いた解析を行ってきたが、転写と翻訳を共役した形でmRNAを調製し、同様にmRNAを精製し、配列解析を行った結果、mRNAの二次構造形成の影響を極力排除した形で翻訳に効果的、または阻害的な配列集団の特徴抽出を行うことにも成功した。これらの結果により、PUREシステムにおいて反応効率を高めるまたは阻害する配列集団の特徴抽出を網羅的解析から定量的に評価することが可能となった。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
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人工細胞の創製とその応用 (シーエムシー出版 植田充美 監修)
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