研究課題
本研究プロジェクトでは、環境水から水圏生物のDNA(以下、環境DNA)を同定し、その検出量を基に野生生物の生物量を推定することを目的としている。H28年度はH27年度に実施した水産研究・教育機構 北海道区水産研究所・千歳さけます事業所におけるサケ稚魚飼育実験の解析を進めたほか、道立総合研究機構の協力の下、イトウ稚魚を用いた環境DNA定量性確認実験を実施した。これらの結果は、環境管理下での生物量と検出される環境DNA量の明確な正の相関を示し、本プロジェクトの主題である野外での生物量推定の可能性を強く示唆している。また重点調査地域とした千歳川水系8定点において、計23回にわたる採水調査を行い、ろ過時のネガティブコントロールと併せ、総計730サンプルを収集した。この一部について解析をしたところ、H27以前のサンプル解析結果との比較により、自然河川内のサケ環境DNA量に明瞭な季節性が確認された。この結果については現在学術論文としての取りまとめを行っている。更に千歳川以外の水系でも共同研究者や研究協力者の協力の下、100地点を超える広範囲な採水を実施しており、この解析により北海道レベルでのサケの時空間分布と局所的バイオマスの推定が可能となるものと期待される。また、並行して技術面でも大幅な改良を行った。環境DNAの採水後の劣化を抑える薬品も開発し、現場での採水・ろ過が可能となる手法も検討を行った。これらの改良により、環境DNA定量の不確定要素を最小限に抑え、より安定した正確な定量が出来るものと期待される。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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