研究課題
本研究の第一の目的は、哺乳動物から非侵襲的または極低侵襲的に培養細胞を入手し、凍結保存できることを示すことである。研究の結果、極低侵襲的に抜去した毛根(まゆ毛、ヒゲ、体毛)に由来する細胞を、採取した6種の哺乳動物(ヒト:成人男女のボランティア7人、マウス、アカネズミ、シリアンハムスター、ジャンガリアンハムスター、ヨツユビハリネズミ)の全てにおいて培養・凍結保存することに成功した。毛根の酵素処理、培養温度、酸素濃度、二酸化炭素濃度など種々培養条件を検討して培養効率の最適化を試みた。しかし、毛根からの細胞の遊出頻度は、動物種によって大きく異なり、ヒトやアカネズミの場合は50%以上と良好であったが、マウスの場合は数%と非常に低く、他の動物の場合はこれらの中間的な値となった。得られた細胞の形態については、繊維芽細胞様のものが比較的多かったが、上皮細胞様、間葉細胞様、神経芽細胞様など多様な形態の細胞も得られた。第二の目的は、得られた培養細胞を初期化し、生殖細胞に分化誘導することである。これらの培養細胞の内、ヒト、マウス、ヨツユビハリネズミの培養細胞について、エレクトロポレーション法によってエピソーマルベクター(TAKARA)を導入し、初期化を試みた。ベクターの導入によってアルカリフォスファターゼほかの初期化マーカー陽性の細胞集団が得られ、単離培養したがその効率は非常に低く、いずれの場合も生殖細胞への分化誘導は達成できなかった。これと平行してマウスとアカネズミにおける過排卵処理、体外受精、偽妊娠子宮移植の最適条件を把握した。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Zoological Science
巻: 34 ページ: 112-121