研究課題/領域番号 |
26640141
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
白水 貴 独立行政法人国立科学博物館, その他部局等, 特別研究員 (10571789)
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研究分担者 |
森山 裕充 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20392673)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マイコウイルス / 木材腐朽菌 / 多様性 / 機能 / ゲノム解読 |
研究実績の概要 |
マイコウイルスの未知の多様性と機能を明らかにすることを目的とし,研究を行っている.平成26年度は,マイコウイルス研究のフロンティアである木材腐朽菌を対象とし,菌株の収集とウイルス検出,ウイルスのゲノム解読に関する研究を進めた.前年度に取り組んだ2つの課題,①木材腐朽菌のマイコウイルス相,②ウイルスのゲノム配列と機能遺伝子,に関する成果について以下に報告する. ①木材腐朽菌のマイコウイルス相 国内の様々な場所から木材腐朽性担子菌類(きのこ類)を中心に約400菌株を収集した.このうち,63菌株について,セルロースカラム抽出(二本鎖RNAを抽出・精製する方法)と電気泳動によるマイコウイルス(二本鎖RNAウイルス)の検出を試みた.その結果,10菌株が何らかのウイルスに感染していることが確認された(感染率は約16%).今後は,菌株収集を継続するとともに,さらに多くの菌株を用いたウイルス検出を試みる予定である. ②ウイルスのゲノム配列と機能遺伝子 マイコウイルスのゲノム配列を決定するには,大量のウイルス核酸を得る必要がある.そのため,ウイルス感染菌株の液体培地を用いた大量培養を行っている.現在,感染が認められた株10菌株のうち6菌株で十分な培養菌糸(5グラム以上)が得られている.今後は,これらの培養菌糸からウイルスゲノム(二本鎖RNA)を抽出し,DNAクローニング法にてゲノム配列を決定する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度は300菌株の収集を目指していたが,これを大きく上回る400菌株を収集することができた.菌株からのウイルスの検出についても既に63菌株が終了しており,順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,菌株収集を継続するとともに,さらに多くの菌株を対象としたウイルス検出を試みる予定である.また,これらの培養菌糸からウイルスゲノム(二本鎖RNA)を抽出し,DNAクローニング法にてゲノム配列を決定する.得られた配列データをもとにウイルスの系統的位置づけを推定するとともに,機能遺伝子についても調べていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品が予定より安く購入できたため,次年度使用額が若干生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
培地など消耗品の購入に充てる.
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備考 |
本研究で得た成果について発表したセミナーなどの情報を掲載.
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