研究課題
本課題は、申請者の知見を含むXISTの性質を用いて、クロマチン高次構造や核内配置に関与するXIST様非コードRNAの探索を試みるものである。昨年度までに、マウスのMEFを用いたChIP-seq解析により、プラダ・ウィリー症候群原因領域(PWS領域)に、アリル特異的にSMCHD1、HBiX1が濃縮されていることが明らかとなった。PWS領域は、父方、母方アリル間で遺伝子の発現様式の異なる2Mbにおよぶゲノムインプリンティング領域である。PWS領域においてDNA-FISHおよびRNA-FISHの系を確立し、以下の解析を行った。SMCHD1-HBiX1複合体がこの領域のクロマチン高次構造に関与しているか、DNA-FISH法を用いて検討した。2Mbをカバーするように14種のプローブを作成した。任意の2種のプローブを用いたDNA-FISHによって、PWS領域内の様々な2ヶ所の領域について可視化したところ、相同染色体間で2点間の距離に違いがある領域が存在した。このことは、片方の染色体がより弛緩し、片方の染色体がより凝縮していることを示唆している。これらの領域については、SMCHD1をノックダウンした際に、相同染色体間の2点間距離の差が減少した。従って、SMCHD1はこれらの領域においてクロマチン高次構造に影響を与えていると考えられた。並行して、XIST様のnoncoding RNAの存在を検討するため、 RNA-FISHを行った。常染色体においてSMCHD1-HBiX1が機能するのであれば、共に働くRNAの存在が予想され、XISTと同じ性質を持つのではないかと考えた。RNA-FISHを行うと、用いたFISHプローブによって検出できた点の数が0点、1点、2点のものがあった。これらの点は転写量を反映しているか、アリル特異的なクラウドを形成している可能性が考えられた。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)
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