心臓は変動する脈拍、血圧に適応しつつ循環恒常性を維持している。このためには、心拍維持に必要なATP を産生し続ける。ATP 産生のエネルギー代謝が破綻すれば、すなわち死を意味する。これを回避するため、心臓は循環動態に応じてエネルギー代謝を制御する。しかし、この適応メカニズムは解明されていない。我々が同定した力学刺激応答因子は、心拍による力学刺激で核内に移行し、核内受容体のひとつと相互作用する。この結果、転写活性化、エネルギー代謝促進、ATP産生増大を起す。この合目的的機構は、変動する循環動態への重要な対応機構であり、循環恒常性維持のエネルギー側面を明確にすることができた。
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