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2015 年度 実績報告書

古いtRNAの分解と修飾ヌクレオチドの代謝

研究課題

研究課題/領域番号 26650009
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

吉久 徹  兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (60212312)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードtRNA / 分解 / 非対称分裂
研究実績の概要

出芽酵母の様な非対称分裂を行う真核生物では、タンパク質やオルガネラがその機能状態に応じて選別され、傷害を受けたものが若い細胞に分配されない仕組みが近年明らかにされてきた。しかし、傷害RNAに関してはそのような非対称分配・処分があるかは、誰も検討してこなかった。この可能性を検討するため、酵母細胞表面のビオチン化を利用して分裂寿命が進んだ「老いた」酵母細胞を濃縮し、老いた酵母におけるtRNAの細胞内分布や構造特性の検討を試みた。表面ビオチン化酵母の固定化アビジンによる回収効率に関してかなり詳細な条件検討を行い、全体で0.1%程度しか存在しない10回以上分裂を経た母細胞を10%以上まで濃縮することができたものの、それ以上の濃縮は出来なかった。また、娘細胞特異的に転写誘導されるHOプロモーターを用いた母細胞濃縮酵母株(Lindstorm & Gottschling, 2009)を用いた検討も行ったが、tRNAのFISH観察に適した培養条件では報告されている娘細胞特異的な細胞死誘導効率が得られなかった。これらに加え、必要なビオチン化試薬や固定化アビジンの費用面からも、異常修飾等のtRNAの化学的構造に関する生化学的な分析は断念せざるを得なかった。
他方、表面ビオチン化法によって回収した酵母についてのFISH解析では、出芽痕の数によって明らかに分裂寿命の進んだ酵母をより分けて観察することが可能であった。tRNA-Proの分布比較では、こうした細胞と分裂直後の細胞が多数を占める通常の培養状態と大きな違いは見られなかった。現時点では、分裂寿命の若い細胞と寿命の進んだ細胞でははっきりと違いが検出できなかったが、後者の細胞が明らかに肥大していることなどから、翻訳に弱いストレスをかけ続けて分裂寿命を進めた場合などでtRNA分布に違いが見られるか検討する必要があると考えられる。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Motion analysis and ultrastructural study of a colonial diatom, Bacillaria paxillifer.2016

    • 著者名/発表者名
      Yamaoka, N., Suetomo, Y., Yoshihisa, T., and Sonobe, S.
    • 雑誌名

      Microscopy

      巻: 65 ページ: in press

    • DOI

      10.1093/jmicro/dfv375

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cytosolic Hsp70 and co-chaperones constitute a novel system for tRNA import into the nucleus.2015

    • 著者名/発表者名
      Takano, A., Kajita, T., Mochizuki, M., Endo, T., and Yoshihisa, T.
    • 雑誌名

      eLife

      巻: 4 ページ: e04659

    • DOI

      10.7554/eLife.04659

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Nucleocytoplasmic shuttling of tRNAs and implication of the cytosolic Hsp70 system in tRNA import2015

    • 著者名/発表者名
      Yoshihisa, T.
    • 雑誌名

      Nucleus

      巻: 6 ページ: 339-343

    • DOI

      10.1080/19491034.2015.1082696

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] The tRNA splicing endonuclease complex cleaves the mitochondria-localized CBP1 mRNA.2015

    • 著者名/発表者名
      Tsuboi, T., Yamazaki, R., Nobuta, R., Ikecuhi, K., Makino, S., Ohtaki, Y., Suzuki, Y., Yoshihisa, T., Trotta, C., and Inada, T.
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 290 ページ: 16021-16030

    • DOI

      10.1074/jbc.M114.634592

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 出芽酵母の主要な細胞質Hsp70であるSsa2pは、tRNAの核内輸送体として働く。2015

    • 著者名/発表者名
      髙野 晃、梶田 拓弥、望月 誠、遠藤 斗志也、吉久 徹
    • 学会等名
      日本生化学会・日本分子生物学会合同大会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(神戸市)
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] 翻訳共役型タンパク質膜透過における翻訳後膜透過因子Sec71及びSec72の寄与2015

    • 著者名/発表者名
      姜公秀、吉久徹、阪口雅朗
    • 学会等名
      日本生化学会・日本分子生物学会合同大会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(神戸市)
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] Analysis of outer membrane insertion mechanism of yeast mitochondrial protein2015

    • 著者名/発表者名
      Jiyao Song、田村康、吉久徹、遠藤斗志也
    • 学会等名
      日本生化学会・日本分子生物学会合同大会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(神戸市)
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] 酵母HAC1 mRNAの特異な翻訳制御とRNA品質管理回避2015

    • 著者名/発表者名
      吉久徹、小林小夏、佐藤大典、稲田利文、遠藤斗志也
    • 学会等名
      日本細胞生物学会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京都江戸川区)
    • 年月日
      2015-06-30 – 2015-07-02
  • [学会発表] ケイソウの滑走運動2015

    • 著者名/発表者名
      山岡望海、末友靖隆、吉久徹、園部誠司
    • 学会等名
      日本細胞生物学会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京都江戸川区)
    • 年月日
      2015-06-30 – 2015-07-02
  • [学会発表] 翻訳共役型タンパク質膜透過における翻訳後膜透過因子Sec71及びSec72の寄与2015

    • 著者名/発表者名
      姜公秀、吉久徹、阪口雅朗
    • 学会等名
      日本細胞生物学会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京都江戸川区)
    • 年月日
      2015-06-30 – 2015-07-02

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公開日: 2017-01-06  

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