本研究では、寿命の長いRNAであるtRNAを取り上げ、タンパク質に見られるような傷害分子の非対称細胞分裂に従った非対称分配が見られるのか、分解の際に修飾ヌクレオチドがどう処理されるのか、の解析系を、出芽酵母を用いて構築した。この中で、分裂寿命の進んだ細胞を濃縮してtRNAの細胞内分布を調べたが、若い細胞との大きな差は見られなかった。他方、一過的なtRNA分解亢進状態を作り出して修飾ヌクレオチドの動態を調べるための温度感受性tRNA変異を単離した。また、傷害tRNAを含めたtRNAの核内輸送機構の解析から、酵母細胞質Hsp70の一つSsa2pが、tRNAの核内輸送担体であることを突き止めた。
|