NMRシグナルに対する重水度同位体シフトを利用して,プロリン異性化酵素Pin1の酵素ドメインであるPPIaseドメインの活性部位に形成される水素結合ネットワークのダイナミクス解析を行った.重水素同位体シフトの変化から,ネットワーク中の水素結合強度の変化を簡便かつ明瞭に計測することに本研究の特徴がある. PPIaseドメインの活性残基C113に対して3つの異なるアミノ酸変異を導入し,それぞれの変異体の異性化速度変化と,活性部位の水素結合ネットワーク変化の相関を解析した.同様に,活性部位から離れた位置にあるS138残基についても変異を導入し,活性と水素結合ネットワーク安定性の相関を解析した.
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