研究課題
TRIMファミリータンパク質群はN末端側にRing finger, B-boxおよびCoiled-coilモチーフを共有しており(RBCC/TRIMドメイン)、哺乳動物組織には80以上のファミリー分子群が分布する。TRIMファミリー分子群の中で、研究代表者らは筋細胞特異的なミツグミン53 (MG53)と、MG53に最もお一次構造上近縁な胃酸分泌を担当する壁細胞に特異的に発現しているTRIM50に注目している。遺伝子欠損マウスにおける解析結果からは、MG53とTRIM50には刺激に対応して細胞内小胞輸送を促進する機能を共有することが示唆されており、本研究ではその生物学的機能の詳細解明を目指している。2015年度には肺胞上皮細胞に発現するMG53は着眼したプロジェクトが大きく進展した。麻酔条件下の人工呼吸器の負荷により、MG53欠損マウスの肺組織は広範囲に障害されることが見出された。詳細な組織学および細胞生理学的解析実験により、MG53は細胞膜障害に伴う膜修復時の細胞内小胞の動態に寄与しており、その欠損により肺上皮細胞の膜修復機能が破綻する結果、広く細胞死が誘導されることが判明した。また、組換えMG53血中投与の前処理にて肺障害が緩和することも見出された(論文発表)。一方、GFP-TRIM50蛍光組換えタンパク質を各種培養細胞に発現させると、イメージングにて細胞内小胞に局在することも観察されており、局在と動態に関するTRIM50タンパク質の部分欠損の影響を検討中である。
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Am. J. Physiol. Lung Cell. Mol. Physiol.
巻: 310 ページ: L452-464
10.1152/ajplung.00089.2015
http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/biochem/