研究課題
多くのがん細胞の特徴として、代謝変換と中心体不安定性が挙げられるが、両者の関係は不明である。本研究で我々は、コレステロールの一次代謝産物でありステロイドホルモンの前駆体であるプレグネノロンが、ある種のがん細胞において、細胞分裂期の紡錘体極に局在し、紡錘体の多極化を防ぐ働きがあることを見出した。プレグネノロンを細胞から除去すると、紡錘体の多極化が誘導されるが、これは中心体複製の異常ではなく、分裂期において中心小体の接着が早期に乖離することが原因であることが分かった。また、プレグネノロンは中心小体維持に必須であるshort-shugoshin1(sSgo1)タンパクに直接結合し、sSgo1を中心体に集積させることで局在化で、中心体の安定性を保証することを明らかにした。さらに、sSgo1のプレグネノロン結合部位は、N末端側に存在するcoiled-coilドメインであると同定した。興味深いことに、プレグネノロンによる中心体制御機構は、複数種類のがん細胞では機能するが、正常細胞では機能しないとの結果が得られた。
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Chem. Biol.
巻: 21 ページ: 1707-1721
10.1016/j.chembiol.2014.11.005.