中心体制御における代謝産物の機能は不明である。本研究では、ステロイドホルモン前駆体であるプレグネノロン(P5)が細胞分裂期の紡錘体極に局在し、紡錘体の多極化を防ぐことを見出した。P5を細胞から除去すると、分裂期において中心小体の接着が早期に乖離し、多極分裂した。P5は、中心小体維持に必須であるsSgo1のN末端側に存在するcoiled-coilドメインに直接結合することでsSgo1を中心体に集積させることが分かった。また、P5による中心体制御機構は、複数種類のがん細胞では機能するが、正常細胞では機能しなかった。今後、P5による中心体安定化機構をターゲットとした新規がん治療戦略が期待される。
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