研究課題
出芽酵母には、(1)細胞質でPNG1が糖タンパク質から遊離糖鎖を生成する経路と、(2)小胞体内腔でオリゴ糖転移酵素がドリコールオリゴ糖を加水分解し、遊離糖鎖を生成する2つの経路が存在する。我々のこれまでの研究から、小胞体内腔で生成した遊離糖鎖は、小胞体から細胞質に輸送されることが明らかになっていたが、遊離糖鎖の詳細な代謝経路および遊離糖鎖の輸送体(トランスポーター)の遺伝子は未同定のままであった。本研究は、遺伝子破壊法を用いて、遊離糖鎖の代謝経路および遊離糖鎖トランスポーター遺伝子の同定を目的とする。遊離糖鎖が小胞体膜を横切って細胞質に輸送されることから、膜たんぱく質が遊離糖鎖の代謝・輸送に関与する可能性が高い。そこで、出芽酵母ゲノムデータベースから膜貫通領域を持つタンパク質をコードすると予想される非必須遺伝子を約400選出した。これらの単独破壊株の大部分は、当研究室で保有している酵母変異株コレクションに含まれていた。次に、上述の経路(2)に由来する遊離糖鎖だけを検出できるように、選出された単独破壊株においてPNG1遺伝子をさらに欠損させ、2重欠損変異株を作製した。幾つかの遺伝子とPNG1遺伝子との2重破壊では、目的とする酵母変異株が得られない場合があり、それらの間ではgenetic interactionが存在することが想定された。現在までに、約300の2重破壊株を得ることに成功した。これら2重破壊株のうち、すでに約100株については遊離糖鎖の解析を行っており、現段階で遊離糖鎖の量や構造に変化を及ぼす遺伝子の同定には至っていない。
3: やや遅れている
出芽酵母ゲノムデータベースから、約400の膜タンパク質をコードする遺伝子を選出している。このうち、すでに約300の遺伝子に関して2重破壊株を取得しているが、網羅することはできなかった。
今後は、残り100種類程度の二重破壊株の作製と、取得した変異株の遊離糖鎖の解析を進める。もし、遊離糖鎖の構造または量に変化がある変異株が見つかった場合、その分子機構の解明を行う予定である。
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