研究課題
平成27年度は、まず前年度までに構築した光干渉によるイメージング装置と、表面処理した機能性基板を組み合わせ、様々な細胞の接着面の定量計測に挑んだ。具体的には、メラノーマ細胞(B16-F10,B16-F1)、乳腺上皮細胞胞(MCF10A)、Tリンパ球性白血病由来細胞(CCRF-CEM)など、接着性および浮遊性細胞の接着ダイナミクスを系統的に計測した。その結果、光干渉信号を理論に基づき定量解析することで、接着性細胞が基板に物理吸着してから、細胞接着分子による接着の形成に至る過程を観察することに成功した。さらに本光干渉画像から、接着様式が切り替わるために要する時間を、染色を用いずラベルフリーに定量決定できることも示した。また平成27年度は、上記の光干渉システムに加えて、原子間力顕微鏡、ラマン散乱検出装置を組み合わせた新規の細胞接着評価装置の構築にも挑んだ。原理的には本装置により、細胞-基板間の接着面積の定量計測に加えて、細胞‐基板間の接着力や、接着面にある化学種の同定を、同一細胞を用いて行うことが可能である。実際に本装置を用いて、フィブロネクチンやアルブミンなどで表面処理した基板に対するメラノーマ細胞を計測し、細胞-基板間の力学的相互作用を定量評価できることを示した。以上により、光干渉法をベースとした細胞接着面の定量計測法を確立し、様々な細胞機能を評価する上での物理指標をラベルフリーに得ることができることを示すことに成功した。
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In Vitro Cellular & Developmental Biology -Animal
巻: 未定 ページ: 未定
Journal of Physical Chemistry B
巻: 120 ページ: 1221-1227
10.1021/acs.jpcb.5b11870