腎不全とは糸球体濾過量の低下であり、その糸球体濾過は糸球体基底膜、上皮細胞スリット膜、そして糸球体内皮細胞に存在する“孔” (窓、fenestra)の三因子によって構成される。上皮細胞スリット膜に関する研究は、スリット膜を構成する蛋白質(ポドシン・ネフリン)が発見されたことにより、最近10 年間で飛躍的に進歩し、治療法にも大きな影響を与えた。一方、孔を構成する蛋白質は未だに発見されていない。今回の我々の研究の最終目標は、この『“孔”を構成する蛋白質を特定すること』をであり、また未知となっている糸球体内皮細胞に存在する孔の機能を解析することである。 H26年度はヒトHomologue検討の下地となる研究から着手した。血尿や蛋白尿の出現する腎炎では形態学的な変化が予想される。そこで成人で最も多い糸球体腎炎であるIgA腎症を対象とし、感染を契機に肉眼的血尿のみられる群と肉眼的血尿のないIgA腎症を対比することで、「孔」などの微細構造を検討をした。H27年度はH26年度の研究結果に基づいて、マウスの腎臓からGEnCを分離するため様々な角度から検討を重ねた。 Immortomouseより糸球体内皮細胞を単離培養し、さらに抗CD31抗体を用いて糸球体内皮細胞の純度をあげ、FACSで解析した。糸球体内皮細胞のカベオラをキットを用いて単離し、質量分析を行う。
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