本研究では、高速一分子イメージングにより細胞質内を自由拡散するタンパク質一分子の三次元動態計測の実現を目指して、以下の技術開発に取り組んだ。 1) ミリ秒程度の時間分解能を達成するための高感度高速顕微鏡イメージングシステムの開発。 本開発では、高速読み出し可能なCMOSカメラを利用した蛍光一分子システムを構築した。そのために、第2世代sCMOSカメラの高速低ノイズ読み出しを行い、sCMOSカメラのノイズ特性を利用した画像処理によって一分子動態計測・解析を行うためのソフトウェアを開発した。また、高速撮像で十分な蛍光信号強度を実現し、同時に sCMOSカメラの視野を活用するために、広い視野を一様かつ高光強度で励起する輪帯全反射照明システムを構築した。 2) ミリ秒観察に耐える蛍光標識・細胞調製方法の確立。 1)の強い励起光による光毒性を抑え、かつ褪色を抑えるために、蛍光量子収率が高く褪色の遅い新規近赤外蛍光色素を用いた細胞内タンパク質の標識法を開発した。
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