研究課題
本研究では、卵母細胞において細胞質サイズに応じて紡錘体のサイズが変化する「紡錘体スケーリング」の機構を、マウス卵母細胞を用いて解明することを目指した。前年度までの研究結果から、①細胞質量にほぼ比例して紡錘体体積が変化し、その形状は保たれること、②紡錘体体積の変化は、核/細胞質の比や紡錘体から細胞表層までの距離よりもむしろ、細胞質量の変化によってもたらされていること、を示すとともに、③細胞質量に依存して紡錘体の機能性が変化する可能性を示唆するデータを得てきた。本年度では、細胞質量に依存した紡錘体の機能性の変化について焦点をあてた研究を行った。まず、細胞質量を人為的に増加させた卵母細胞では、紡錘体が染色体を赤道面に整列させる効率が低下していた。逆に、細胞質量を減少させた卵母細胞では、紡錘体は染色体をより効率よく赤道面に整列させることができた。細胞質量を増加させた卵母細胞の紡錘体は、その極において微小管重合中心の分布が通常よりも非対称的に広がっており、動原体に接続する微小管の安定性が低かった。細胞質量を減少させた卵母細胞の紡錘体では、逆の効果が見られた。これらの実験結果は、細胞質サイズを大きくするほど紡錘体の機能性が低くなることを示している。実際に、細胞質量を増加させた卵母細胞の紡錘体は、染色体分配の誤りの頻度が上昇していた。
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PLOS ONE
巻: 11 ページ: ―
10.1371/journal.pone.0159917
http://www.cdb.riken.jp/lcs/index.html
http://www.riken.jp/research/labs/cdb/chromo_segr/
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