研究課題
本年度はペンギンの胚発生研究を可能とする基盤のうち、これまで固定標本しか実験に用いることができなかった状況を改善し、ペンギン卵を胚操作できる状況を制度的にも実質的にも作り上げた。水族館との新しい共同研究を申請し、大学に譲受けの許可申請を行い、最終的に環境省にペンギン卵の輸送の申請を行うなどの制度的道筋をつけた。さらに、実際の輸送方法、ふ卵方法、卵の滅菌方法、卵殻の開け方や胚操作の方法などをひとつひとつクリアし、細胞系譜追跡実験など胚操作実験を可能とした。それらの実験の結果、ペンギン前肢(翼)の第1指形成不全が発生段階27以降に生じること、それには過剰な細胞死は伴わず細胞増殖の低下が見られること、過剰なbmp4遺伝子の発現が見られること、などを明らかにした。また、ニワトリとペンギンを比較するうえでさらに系統て駅に両者の中間に位置する動物種を比較に加えるため、キンカチョウ卵の入手を行い指形成について解析を行った。これらの内容について複数の学会発表を行った他、現在論文作成中である。また、鳥類および他の四足動物の指形成について比較研究を行う目的で、ニワトリおよびペンギン胚を比較対象として実験に用いた。そのなかで、AP2b遺伝子が指の指骨形状の形態形成に関与することを示し、また鳥類哺乳類との比較の中から両生類の一部の種が6番目の指をもつことを示した。これらを論文として発表した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
Developmental Biology
巻: 407 ページ: 75-89
10.1016/j.ydbio.2015.08.006
Zoological Letters
巻: 1 ページ: 17
10.1186/s40851-015-0019-y