両生類(ツメガエル、イモリ)の初期胚細胞において、クエン酸合成酵素(CS)の細胞骨格系とCa2+ストア小胞体での分布と機能を、蛍光抗体法や透明化割球での蛍光融合タンパク質の発現と観察を用いて明らかにした。抗体による機能阻害により、CSの卵割とCa2+シグナル経路と細胞骨格系でCSと相互作用している分子を検討した。これらにより、CSの多様な役割とその分子機能を明らかにし、これまでに未知であったエネルギー代謝系酵素(CS)のミトコンドリア外での新規機能を検討した。 とくに本年度は、高分子の細胞骨格型CSの細胞内局在化の分子機構を明らかにするため、高分子型CSのリン酸化の状況を詳しく調べた。イモリとツメガエルで比較解析をおこなうと、これらの変異はリン酸化可能なアミノ酸が異なることがわかった。また、ミトンドリア外のCSは、細胞骨格分子と密接に相互作用していると考えられるので、とくに長くて安定した細胞骨格が細胞分化に必要である神経系細胞や筋細胞の形態形成おける細胞骨格型CSの役割について明らかにする。CSが体節の周囲に特異的に分布すること確認できた。イモリ初期胚での核内や細胞質でのCa2+シグナル経路における役割を調べるため、イモリ透明化割球の作成に成功し、Ca2+感受性蛍光色素による細胞内Ca2+イメージング法を用いて解析した。これらによりミトコンドリア外のCSの発生過程における役割を明らかできる手法が確立した。
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