研究実績の概要 |
トランスジェニック爬虫類の作製技術確立のため、本年度は成体オスヤモリの精巣への遺伝子導入とF1個体への導入遺伝子の伝播の有無について検討した。導入遺伝子として、HindIII にて直鎖化した発現ベクター pCAGGS-mRFP 0.2ug/uL および 酵素未処理の Tol2 トランスポゼース (pT2TP および pT2AL-EGFP:1.0 ug/uL) をリン酸緩衝液に溶解し、すべて等量に混合した。その後、オスのマダガスカル産ソメワケササクレヤモリ (130822, 2013年8月22日孵化)を吸入麻酔 (イソフルラン、麻酔誘導 4%, 400mL/h) にて全身麻酔し、腹部を切開して精巣を露出させた。顕微鏡下で発現ベクター溶液を充填したガラスニードルを精巣内に突き刺し、マイクロインジェクターによって DNA を注入後、円盤状電極で精巣を挟み電気穿孔を行った。電気穿孔条件は 28V, 50ms pulse on, 950ms pulse off, decay 0%, で、6回の電気パルスで遺伝子を導入した。両精巣に電気穿孔を行った後、抗生物質入りの緩衝液を腹腔内に満たし腹部を縫合、0.1mLのキシロカインを注入しホットプレート上にて蘇生させた。当初最も危惧していた手術中および術後の死亡は回避することができた。一ヶ月後、3匹のメスヤモリ (140202-1,-2, -3)と交配させ、現在までに6個の胚を回収した。胚は蛍光顕微鏡下にて GFP および RFP の発現の有無を検討したが、現在までに蛍光遺伝子の発現が確認された胚は無い。また、胚よりゲノムDNA を採取し、PCR によるジェノタイピングを行ったが、現在までに発現ベクター由来の遺伝子の増幅は確認されていない。
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