研究課題
1.FBL-1およびNID-1の基底膜局在量の解析: 我々のこれまでの研究から、MIG-17の働きにより、生殖巣基底膜にFBL-1/fibulin-1がリクルートされ、さらにFBL-1がNID-1/nidogenをリクルートすることを突き止めている。そこで、これらの基底膜分子の生殖巣基底膜への局在がrpl-20(tk73)変異によって影響を受けるのかを解析した。FBL-1C-Venusの局在はWTとrpl-20(tk73)で差が無かった。NID-1-GFPはWTに比べてmig-17(k174)変異体では局在が強くなっていた。興味深いことに、mig-17(k174); rpl-20(tk73)二重変異体では局在の強さは野生型と変わらなかった。この結果からmig-17変異体では生殖巣基底膜のNID-1-GFPに対する親和性が上昇しており、これがrpl-20変異により正常に回復することが分かった。これはrpl-20変異が生殖巣基底膜の性質に影響を与えていることを示唆する。2.RPL-20結合蛋白質の同定:N末端またはC末端にFLAGタグを付加したRPL-20の野生型および変異型コンストラクトを作製した。変異型のコンストラクトをmig-17変異体に導入したところ、N末端にFLAGタグを付加したものでmig-17変異体のDTC移動異常が有意に回復した。そこで、N末端FLAGタグのコンストラクトを野生株に導入し、免疫沈降法と質量分析法によって、変異型と野生型RPL-20の結合蛋白質を比較した。RPL-20がリボソームサブユニットであることから、当然リボソームサブユニットが多数検出されたが、これ以外のものの中でUNC-44 (Ankyrin-like), HRP-2 (nuclear ribonucleoprotein), NAP-1 (nucleosome assembly protein), LAF-1 (RNA helicase), CCT-6 (chaperonin)などが、野生型に比べて変異型RPL-20に結合しやすいと考えられる結果となった。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り研究が進行した。(1)FBL-1およびNID-1の局在解析を行い、rpl-20変異がNID-1の生殖巣基底膜局在に影響を与えることを明らかにした。(2) 野生型および変異型RPL-20にFLAGタグを付加し、免疫沈降法と質量分析法によって結合タンパク質の差異を明らかにした。
平成28年度、補助事業の目的をより精緻に達成するため、野生型およびRPL-20変異体のそれぞれについて、ポリソーム解析を実施する。必要に応じて、マイクロアレイまたはRNAシークエンスにより、翻訳プロファイルの違いを比較する。RPL-20で特異的に翻訳が促進あるいは阻害されている遺伝子の同定を目指す。
平成27年度までに研究計画に即して研究を遂行したが、RPL-20による翻訳制御についてさらに深く追求することが必要と考えた。
野生型およびRPL-20変異体のそれぞれについて、ポリソーム解析を実施する。必要に応じて、マイクロアレイまたはRNAシークエンスにより、翻訳プロファイルの違いを比較する。RPL-20で特異的に翻訳が促進あるいは阻害されている遺伝子の同定を目指す。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Matrix Biology
巻: 44-46C ページ: 64-69
10.1016/j.matbio.2015.01.001
http://sci-tech.ksc.kwansei.ac.jp/~nishiwaki/