研究課題
CRISPRiシステムを発生学実験に応用し、シス制御領域の機能解析を試みるため、実験に用いる各種dCas9コンストラクトを作成した。そこからmRNAを合成し、Xenopus胚に顕微注入して、各コンストラクトの細胞内局在を、共焦点顕微鏡により観察した。その結果、NLSを融合したコンストラクトは効率よく核に局在していること、GR融合型コンストラクトはDEXの付加によって核へと移行していくことが確認された。また、Western blotting解析により、dCas9コンストラクトは全長タンパク質が合成されていることも示された。NLS融合型、GR融合型、どちらもVP16もしくはenRを付加したものを同時に作成しており、それぞれ人工転写活性化因子、人工転写抑制因子として働くことが期待される。標的配列に対するgRNAコンストラクトとしては、まずLuciferase reporterの転写抑制用gRNAを作成した。さらに、シス制御領域の標的配列として、GAL4UAS、TOPFLASH、Xenopus tropicalis gscのU1領域、Xenopus tropicalis wnt8aのU1領域、に対するgRNAコンストラクトを作成した。
3: やや遅れている
当初の予定通り、実験に用いる各種コンストラクトを作成し、dCas9の核局在は確認できたが、実際にCRISPRiを試すまでには至らなかった。また、ツメガエル胚以外での解析も進んでいないため、「やや遅れている」という達成度になった。しかし、外来レポーターを用いた実験はすぐにでも始められる状況であり、内在のシス制御領域に対する解析に移るのにそれほどの遅れはないと考えられる。
まず、完成したコンストラクトを用いて、外来レポーターに対してCRISPRiが有効かどうかを早急に確認する。実験を効率よく進めるため、研究協力者(東京大学・平良眞規准教授)にコンストラクトを送付し、これら予備実験への協力を依頼する。その後、内在の遺伝子発現制御に対して、CRISPRiが作用しうるかどうかを検討する。ツメガエル胚以外での解析は、ホヤ胚にしぼり、brachyuryの発現制御機構に対するCRISPRiの効果を検討する。ヒストン修飾酵素を融合したdCas9は未作成なので、これも作成し、局所的なエピジェネティック操作が可能かどうかだけでも検討する。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Nature Communications
巻: 5 ページ: Article No.4322
10.1038/ncomms5322
Biochem Biophys Res Commun
巻: 451 ページ: 522-528
10.1016/j.bbrc.2014.08.006