研究課題/領域番号 |
26650087
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
安岡 有理 沖縄科学技術大学院大学, マリンゲノミクスユニット, 研究員 (70724954)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 遺伝子発現調節 / 発生ゲノム科学 / CRISPR |
研究実績の概要 |
CRISPRiシステムを発生学実験に応用し、シス制御領域の機能解析を試みるため、Xenopus胚を用いた予備実験を行った。まずは、Luciferaseレポーター遺伝子の転写開始部位付近に設計した転写抑制用gRNAを用い、既報のCRISPRiシステムがXenopus胚で機能するかどうかを検討した。しかしながら、種々のコンストラクトのmRNA、gRNAをを様々な濃度で顕微注入してLuciferaseアッセイを行ったものの、目立った抑制効果が見られなかった。さらに、シス制御領域の標的配列として、TOPFLASHレポーターのTcf結合サイトに対するgRNAコンストラクトの効果もLuciferaseアッセイで検討したが、顕著な抑制効果を示す結果は得られなかった。連携協力者の協力の元、goosecoid遺伝子のプロモーターをつないだレポーターコンストラクトと、同プロモーター内の既知の転写因子結合配列に設計したgRNAコンストラクトを用いて、Xenopus胚を用いたLuciferaseアッセイも行ったが、こちらでも抑制効果は検出されなかった。これらの結果は、Xenopus胚において、外来レポーターDNAに対してCRISPRiシステムが十分に機能しないことを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
外来レポーターを用いた予備実験で思うような結果が得られず、実験計画の大幅な変更が必要となってしまった。内在シス制御領域に対する解析に切り替える必要があったが、十分な進展を得られなかった。したがって、残念ながら「遅れている」という達成度になった。
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今後の研究の推進方策 |
外来レポーターに対するCRISPRi実験は成果が得られなかったため、内在のゲノムDNAに対してCRISPRiが作用しうるかどうかを検討する。解析対象動物はXenopusに絞り、実験手法の確立を目指す。まずは、転写活性化ドメインや、転写抑制ドメインを融合させたdCas9コンストラクトを用いて、特定の遺伝子の発現亢進および抑制ができるかどうかを検討する。これらの実験によって、CRISPRiシステムが胚発生における遺伝子発現調節ツールとして機能するかどうかを明らかにする。発現の増減そのものは原腸胚でのin situハイブリダイゼーションで確認し、後期胚で表現型が得られるかどうかも合わせて検討する。解析対象遺伝子として、腹側での機能亢進で二次軸を作ると考えられるsiamoisと、背側での機能阻害でサイクロプスの表現型が得られると期待されるgoosecoidを解析する。これらの実験で良好な結果が得られれば、シス制御領域(CRM)の機能阻害実験を試み、CRMi実験の実現性を検討する。解析対象遺伝子としては、多くの時期特異的エンハンサーが同定されているotx2を用いる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予備実験として計画していた単純な実験系で思うような結果が出ず、実験条件や検討方法の大幅な見直しが必要となった。また、研究代表者のその他の研究業務の多忙、および平成26年7月に生まれた第一子の養育により、研究計画が大きく遅延した。研究協力者も、他の業務に多忙を極め、思うような協力が得られなかった。したがって、本研究課題の補助事業期間の延長が必要となった。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究課題の目的をより精緻に達成するため、追加実験を行う。次年度使用額は、実験動物(アフリカツメガエル)や実験に必要な試薬およびプラスチック・ガラス器具を購入するための消耗品費に充てる。
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