研究課題
本研究は、緑藻クラミドモナスの走光性の正と負の切り替えが、細胞内のレドックス状態によって制御されるという発見(Wakabayashi et al., 2011 PNAS)を端緒として、走光性ミュータントが得られた場合、それが光合成ミュータントでもあるのではないか、という発想に基づいた挑戦的な計画である。本計画の2年間で、合計8種の走光性の正負切り替え異常ミュータントを単離し、うち2種については原因遺伝子を明らかにし、残りについても多くのものは次世代シーケンスを用いて候補の絞込は行った。しかし、同定および候補遺伝子の中に、いまのところ光合成に直接関与すると見られる遺伝子はみつかっていない。つい最近、韓国のグループから、2011年の我々の成果を参考として、走光性関連ミュータントから光合成効率の高いものが得られたという報告があった。彼らは正負の切り替えでなく、正の走光性の効率が高いものを絞り込んだということだった。先を越されたようで残念なことではあったが、我々の保持する2種の「常に正の走光性しか示さない」ミュータント、「強い正の走光性を示す」ミュータントは、まだ原因遺伝子の同定ができていない。これらが光合成に関与している可能性がある。
3: やや遅れている
走光性ミュータント自体は多数得られ、かつ既に論文にできたものもあるという点では順調であると言いたいが、目的とした光合成関連ミュータントは得られていないため。
期間延長をさせていただいたので、上記3種の正の走光性のミュータントの遺伝子の同定を急ぎ、さらに光合成活性の検定も行う。
遺伝子が未同定のミュータントの中に、光合成に関わる遺伝子が含まれている可能性が示唆されたため、その検証を行う。
主として遺伝子クローニング、遺伝子導入実験、形質転換体の培養に関わる基本的な試薬やプラスチック器具の購入に用いる。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻: 113 ページ: 5299-5304
10.1073/pnas.1525538113
http://www.res.titech.ac.jp/~junkan/Hisabori_HomePage/index.html