研究課題/領域番号 |
26650094
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西川 周一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10252222)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 有性生殖 / 核膜融合 / 雌性配偶体 / 遺伝子発現誘導 |
研究実績の概要 |
研究代表者らは、小胞体の分子シャペロンHsp70であるBiPが、シロイヌナズナの雌性配偶体形成時の極核の核膜融合に必要であることを明らかにした。本研究は、単一細胞における遺伝子発現誘導法であるIR-LEGOを発展させ、雌しべ内の雌性配偶体を対象とした時期特異的・細胞特異的な遺伝子発現誘導法の開発と、これを用いた極核融合におけるBiPおよびその制御因子の機能解析を目指している。 本年度はまず、tagRFPおよびミトコンドリア局在型GFPを標的遺伝子として、熱ショックプロモーターによる遺伝子発現誘導が可能な株を構築した。IR-LEGOを用いた根における発現誘導実験では、ミトコンドリア局在型GFPを用いることで高感度に発現誘導を検出できることが示された。摘出した胚珠を用いた発現誘導実験では、胚珠の生存率を保ったまま長時間観察するための条件検討が必要であることが明らかとなった。 本年度は、Cre-loxP部位特異的組換えを利用した発現誘導系の構築も行った。中央細胞、助細胞、配偶体全体を標的細胞に、ミトコンドリア局在型GFPを発現可能な組換え遺伝子を構築し、これを熱ショックによってCreを発現するHS-Cre株に導入した。現在、花芽の熱処理による発現誘導条件の検討を行っている。また、BiPおよびその制御因子を発現誘導可能な組換え遺伝子の構築を行うとともに、BiP変異株へのHS-Cre導入を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
摘出した胚珠を用いた遺伝子発現誘導実験において、胚珠の培養条件の検討が必要ではあるものの、当初予定していた株の構築は、計画通り進んでいる。Cre-loxPを用いた発現誘導系を利用して、花芽の熱処理による発現誘導を行うことで、長時間の胚珠培養を行わないでも当初の目的を達成可能な実験系を構築できると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に引き続き、解析のための株の構築と遺伝子発現誘導の条件の確立を行う。また、目的の株が構築でき次第、BiPやその制御因子の欠損株の雌性配偶体における、BiPなどの発現誘導実験を行い、極核の核膜融合においてこれら因子を必要とする時期の特定などを進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費は年度内にすべて使用していたが、事務処理手続きの関係で一部の支払いが3月31日以降になったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、昨年度購入の物品費として4月以降に支払いが確定している。翌年度分の助成金は、当初の計画通り使用する計画である。
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