研究課題
本研究では、近年同定された植物の紫外線(UV-B)受容体タンパク質UVR8と超短パルスレーザー発振装置を利用して、時間的、空間的な分解能に優れた遺伝子発現誘導系の開発を行なうものである。平成26年度においては主に、UVR8改変タンパク質を有した植物体内転写誘導系の開発を行った。まず単純化した誘導系の基礎となるとして、UVR8にLexAのDNA結合ドメインを融合したもの(LexA-UVR8)、LexA-UVR8にVP16の転写活性化ドメインを加えたもの(LexA-VP16-UVR8)、UVR8に強いリプレッサードメインを融合したもの(UVR8-RD)を各々カリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーターを用いて発現する遺伝子を作成し、形質転換シロイヌナズナ系に導入した。また、LexA認識配列を有するプロモーターの下流にYFPコード領域をつないだレポーター遺伝子(LexApro-YFP)を作成し、これも形質転換シロイヌナズナ系に導入した。これらの形質転換シロイヌナズナ株の中で適切なものを選抜し、それらを掛け合わせることでUVR8転写誘導系を確立する。これと平行して、野生型シロイヌナズナを用いてUV-B紫外線による内在性遺伝子の発現誘導実験を行い、シロイヌナズナにおける紫外線照射条件の設定を前もって検討した。
2: おおむね順調に進展している
最も時間を要する形質転換シロイヌナズナ系の開発が進み、植物体に対する紫外線照射条件も設定されたことから、研究全体は順調に進展していると判断される。
予定通り、転写誘導系を有する形質転換シロイヌナズナの開発を続けるとともに、超短パルスレーザーの照射実験を27年度後半から始める。UVR8の構造と機能に関する研究は現在も急速に進展しており、新しい知見が得られている。その中で本研究にとって有用なものを随時取り入れつつ、実用的な転写誘導系の開発を目指す。
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