研究課題
本研究では、近年同定された植物の紫外線(UV-B)受容体タンパク質UVR8と超短パルスレーザー発振装置を利用して、時間的、空間的な分解能に優れた遺伝子発現誘導系の開発を行なうものである。平成27年度においては、各種UVR8融合転写因子に蛍光タンパク質を付加し35Sプロモーターにより発現する遺伝子35Spro-LexA-mCherry-UVR8、35Spro-LexA-VP16-mCherry-UVR8、および35Spro-YFP-UVR8-RDを形質転換植物内に導入し、それぞれの融合タンパク質の発現量を随時モニターできるようにした。そして、植物株の掛け合わせにより、35Spro-LexA-mCherry-UVR8と35Spro-YFP-UVR8-RDを共に有する株、および35Spro-LexA-VP16-mCherry-UVR8と35Spro-YFP-UVR8-RDを共に有する株を作成した。さらにそれらの株との掛け合わせにより誘導発現のレポーター遺伝子LexUASpro-H2B-tdTomatoを導入した。これにより、35Spro-LexA-VP16-mCherry-UVR8、35Spro-YFP-UVR8-RD、およびLexUASpro-H2B-tdTomatoを有する植物では、UV-B照射によってH2B-tdTomatoの発現的誘導が期待されたが、UVランプを用いた予備的実験においては今のところ有意な誘導は検出されていない。現在、YFP-UVR8-RDの発現量を増やす、レポーター遺伝子として35+LexUASpro-H2B-tdTomatoを使用するなどの改善を加え、実験を継続中である。
3: やや遅れている
最も時間を要する形質転換シロイヌナズナ系の開発は進んでいるが、植物体に対する紫外線レーザー照射実験までには至っていないので、やや遅れていると判断した。
今後複数の形質転換系の作成を同時移行させ、開発を加速させる。系が確立し次第、超短パルスレーザーの照射実験を始める。照射実験のための光路系の検討を前もって行う。年度終了までに、レーザー照射による局所的誘導の実績を得ることを目標とする。
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Plant Cell
巻: 28 ページ: 55-73
10.1105/tpc.15.00949
巻: 27 ページ: 2894-2906
10.1105/tpc.15.00607