研究課題
動物や酵母においては、細胞周期のG2/M期進行に必須な因子として、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)の脱リン酸化酵素であるCDC25フォスファターゼが知られている。しかし、植物ではそのオルソログが同定されておらず、G2期からM期への移行は別の機構により促進されると解釈されている。一方、タバコ培養細胞ではCDC25と似た機能をもつフォスファターゼがサイトカイニンシグナルの下流で機能する可能性が示唆されている。そこで、本研究ではCDKフォスファターゼの同定とサイトカイニンシグナルとの関連性を明らかにすることを目的として、研究を進めている。まず、動物のCDC25特異的阻害剤であるNSC663284を用いてシロイヌナズナに対する効果を調べたところ、細胞周期進行がG1/S期で停止し、細胞分裂が阻害されることが明らかになった。EdUの取り込みを観察したところ、S期への進行が阻害されていることが支持された。一方、wee1変異体はこの阻害剤に耐性を示すことが明らかになり、その作用点がCDKの脱リン酸化にあることが示唆された。一方、ゼニゴケには動物タイプのCDC25オルソログが存在することが明らかになった。また、植物で当初CDC25として発表されたCDC25ホモログ(ヒ酸の代謝に関わるとされている)もゼニゴケには存在することから、進化的基部に位置するゼニゴケは植物のCDC25の機能的変遷を理解する上で有用であると考えられた。そこで、ゼニゴケに存在する2種類のCDC25ホモログのノックアウト、過剰発現、また発現解析のための準備を進めた。
1: 当初の計画以上に進展している
CDC25特異的阻害剤の効果を順調に解析することができ、さらにゼニゴケのCDC25の解析まで行うことができたから。
ゼニゴケのCDC25オルソログの発現様式を解析するとともに、ノックアウト株や過剰発現株の表現型を観察する。また、サイトカイニンに対する応答性についても解析する。
阻害剤を1種類試しただけで効果を確認することができたので、その後の解析を特定の阻害剤に関して調べるだけで済んだから。
ゼニゴケのサイトカイニン応答性を観察ための実験系の確立に使用する。
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http://bsw3.naist.jp/umeda/index.html