研究課題
病原体は数十種類ものエフェクターを分泌することで、植物の免疫システムを撹乱する。現在の最重要課題は、免疫システムの制御因子およびエフェクターの同定にあるが、遺伝学的手法やゲノム情報に基づくアプローチには限界があり、1つの因子の同定に膨大な時間を要している。本研究課題では最新の方法論を応用することで、病原体感染に伴う植物細胞内のタンパク質複合体の変動を網羅的に解析し、エフェクター、そしてエフェクターの標的つまりは植物免疫制御因子の一斉同定を試みる。1)植物細胞内における植物因子と病原体由来の因子(エフェクター)との相互作用を効率よく検出するには、植物細胞内へのエフェクターの注入効率を最適化することが重要である。Avrエフェクターは、植物細胞内に注入されると過敏感細胞死を誘導する。そこで、Avrエフェクターを有する病原体を用い、細胞死を指標として、エフェクターが効率よく注入される感染条件、エフェクターが細胞内に注入されるタイミングなどを検証した。計画当初は、プロテオーム解析に必要なサンプルの量を考慮して植物培養細胞の利用を考えていたが、葉からも容易に準備できることが分かったため、感染効率も良く、感染過程がより自然な葉を利用するように計画を変更した。2)様々な複合体の分離プロファイルをきれいに描くには、プロテオーム解析において網羅性、感度、再現性などの点で最適化する必要がある。そこで、LC-MSシステムの接続、分離カラム、データ取得Methodなどを検討し、解析に適した条件の確立を行った。
3: やや遅れている
実際のサンプルのLC-MS解析まで至らなかった。
サンプルの解析を早々に行い、病原体因子と植物因子の相互作用を見出す。
サンプルのLC-MS解析が予定より遅れ、解析にかかる費用が残ったため。
当初の予定にある解析のために使う。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 9件)
Plant Physiology
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