研究課題
共焦点顕微鏡における励起光のベクトルビーム化の効果を検証するためにはサンプル内における集光条件が非常に重要である。これまでの研究成果により、固定脳においてはその脳領域や部位において異なる集光特性を示すことが明らかになった。この問題を解決するために屈折率調整可能な透徹剤を新たに調整することによってサンプルを透明化し、固定のスライス表面から数十μmの深さにおいては集光が保たれる条件を見出した。さらに励起光の集光特性が同様に重要な超解像顕微鏡法である構造化照明顕微鏡(N-SIM)においてその条件の応用を試みた結果、未処理の固定脳スライスでは観察不可能であった固定脳深部領域において超解像効果が得られ、さらに長期ストレスのモデルマウスでもある人工副腎皮質ホルモン長期投与マウスにおいて、その神経細胞シナプスのスパイン構造が微細に変化していたことを明らかにした。この成果に関してはEur.J.Neuroscience誌において論文発表を行った。また、この成果は固定脳内における集光特性についても詳細に検討しており、顕微鏡法としての有意義性が高いと考えている。次に、生体脳における集光特性についての詳細な解析を実施した。その結果、高価な光学調整機器を用いずとも生体脳イメージングにおいてはそのカバーガラスの傾きや厚さ、浸液の屈折率の調整によって大きく改善することが可能であることを見出だした。集光特性の向上は焦点における励起光のエネルギー密度の向上を意味する。本手法は簡易に生体脳イメージングの深部イメージングを達成できることから、現在論文執筆中である。
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European Journal of Neuroscience
巻: 47 ページ: 1033~1042
10.1111/ejn.13901