生物は、多様な組織・細胞・細胞小器官から構成される一つの複雑な社会である。個々の細胞や細胞小器官のもつミクロな「個性」を分子レベルで理解するためには、顕微鏡で狙った細胞を選択的に試験管内に取り込む技術が鍵となる。本研究課題では赤外線レーザーによって細胞を操作できる光ピンセットと、マイクロ流路を組み合わせることにより、新たな細胞回収法の開発をめざした。具体的な対象として選んだのは、酵母用菌類クリプトコッカスにおけるミトコンドリア遺伝機構である。その結果、1細胞解析をおこなうことでαミトコンドリアDNAが接合子で選択的に分解され、これがミトコンドリア片親遺伝の基盤であることを示した。
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