ロドプシンは非常に安定なタンパク質であり、それに含まれる発色団の熱異性化の頻度は極端に小さい。そのため、ロドプシンを含む桿体視細胞は1個の光子に応答できるほど高感度である。本研究で我々は生化学的手法でロドプシン発色団の熱異性化速度を測定する方法を新たに開発した。その結果、ロドプシンは錐体視物質からの分子進化過程で2つの鍵となるアミノ酸残基を獲得し、熱異性化速度を約1/1000に抑えていることがわかった。また、両生類の緑桿体に発現する青色感受性錐体視物質は、先の2つとは別の位置にアミノ酸変異を起こし、ロドプシンと同様の低い熱異性化速度を有することがわかった。
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