研究課題/領域番号 |
26650120
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
名田 茂之 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (50291448)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | FoxO3a / リソソーム |
研究実績の概要 |
FoxO3aはForkhead転写因子のひとつで、線虫C.elegansの寿命を調節するDAF-16遺伝子の哺乳動物ホモログとして知られている。以前の我々の研究から、哺乳動物細胞でのFoxO3aの機能はFoxO3aのセリン314のリン酸化によって調節されており、人為的にこのセリン残基をアラニンに置換したS314A変異体がFoxO3aの活性化型として機能することを明らかにしている。本研究では、S314A変異型FoxO3aをマウス個体で発現させることで、発現したマウス個体及び組織での個体・細胞寿命を解析し、マウスへの人為的な長寿化の効果を調べることを目的としている。 S314A変異型FoxO3aのマウス個体での発現には、マウスES細胞での相同組換えによるROSA26遺伝子座へのFoxO3a-S313A遺伝子ノックインを行い、マウス生体内でCreリコンビナーゼによるneo遺伝子断片の除去でFoxO3a-S314A遺伝子の活性化を誘導することとした。平成26年度の研究ではこの目的のためのターゲティングベクターを構築し、ES細胞への導入、相同組換え体の単離、さらにキメラマウスの作製と交配により、目的遺伝子を持つマウス系統の作製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の実験計画にあるROSA26-FoxO3aノックインマウス系統の樹立を予定通りに完了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
表皮でのFoxO3a-S314A発現マウスとして、ROSA26-FoxO3aノックインマウスとK14-CreERTマウスを交配する。その子孫マウスにCreERT活性化のための4-ヒドロキシタモキシフェンを投与することで、表皮特異的なFoxO3a-S314Aの発現誘導を行う。表皮でのFoxO3a-S314A発現の効果をFoxO3aターゲット遺伝子の発現を調べることで確認する。また表皮組織のサンプリングを定期的に行って経時的な組織の変化をコントロールマウスと比較することにより解析し、細胞や組織の老化についての外見的な変化をまとめる。 細胞レベルの解析については、TetOn 3Gシステムを用いたFoxO3a-S314Aの発現誘導系皮膚線維芽細胞株の作製を行う。この細胞株の解析については計画の内容に沿って進める。 全身性FoxO3a-S314Aの発現マウスについては、生殖系列でCreによるFoxO3a-S314Aの活性化により作製することとする。この目的のために、精原細胞でCreを発現するStra8-CreマウスとROSA26-FoxO3aノックインマウスを交配し、その子孫について初期発生から生体への成長過程と個体寿命についての観察を進める足掛かりとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初目標に到達した研究の進行状況であるが、コストを見込んだマウスの交配と解析の作業開始時期が若干ずれ込んだため、その分の予算が繰り越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
実験計画を前年度から引き継ぎ、当初予定通りの研究を行い予算を執行する。マウスの交配に関わる費用、マウスに投与する薬剤など、保留の作業を前年度残額を用いて行い、本年度の研究と予算執行についても予定通りに行う。
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