研究課題/領域番号 |
26650125
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
宮地 まり 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50349255)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 神経細胞分化 / 長大遺伝子 / 遺伝子間領域 |
研究実績の概要 |
これまでに、トポIIβが標的とするゲノム領域をタイリングアレイで同定し、作用点が遺伝子間領域にも存在することを報告したが、その作用機序解明のため、トポIIβ標的領域をクローニングし、ライブラリーを作成、配列、およびそのゲノムポジションを決定した。一部のクローンを取り出し、試験管内反応系を用いて、標的領域を生化学的に解析した。以上の解析により、標的領域に関して以下の4点を明らかにした。1) AT含量が高いという共通した性質に加え、A (または、T) が2-5個連続するA/T-patch配列を有意に多く含んでいた。2) 長くてAT-richな遺伝子間領域に高頻度に存在しており、標的領域が存在する遺伝子間領域は、長くてAT-richな遺伝子に高頻度に隣接していた。3) トポIIβとRNA依存的に複合体を形成するhnRNP U/SAF-A/ SP120が選択的に結合する。4) 核マトリックスに選択的に結合するMARであるが、相互作用の強さはバラエティーに富んでおり、標的領域と核マトリックスの相互作用は動的に変動する可能性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ES細胞を用いて、神経細胞終末分化系を構築、長大遺伝子の発現解析を行う予定であったが、集団として機能的に均質な終末分化した神経細胞を得ることが困難と判断し、株化された細胞を用いる方針に転換した。また、欠失させるゲノム領域の選定に、配列や発現のデータベースのみを活用する予定だったが、実際の実験データも参考に領域を選択することにしたため、長大遺伝子間領域欠失系を構築する予定が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
遅れている長大遺伝子間領域の欠失系を、繊維芽細胞を用いて構築する。培養細胞を用いた神経細胞終末分化系は、当該研究室で既にシステムが構築されているため、実験を再現後、遺伝子発現変化の未知な遺伝子に関しては、RT-qPCRにより発現変化を観察する。欠失させるゲノム領域を決定し、線維芽細胞で構築した長大遺伝子間領域の欠失系を用いて、長大遺伝子間領域を欠失させる。分化前後での遺伝子発現の変化を欠失させた細胞とさせていない細胞で比較し、長大遺伝子間領域の機能を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
神経細胞の終末分化系をES細胞から培養細胞に変更したため、欠失ゲノム領域の選定に時間を要し、長大ゲノム領域欠失系の構築には至らなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
長大ゲノム領域欠失系構築のため、合成オリゴDNA、組換えDNA構築のための試薬、および培養細胞の培養等に使用予定である。
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