長大遺伝子に隣接する遺伝子間領域の遺伝子発現制御機能を解析するため、標的とする遺伝子を選定した。ラット脳幹由来のRN33B細胞株を用いて終末分化系の構築を試みた。まず形態変化、および細胞分裂の停止を確認した。次に分化誘導した細胞としていない細胞の遺伝子発現を比較し、複数の長大遺伝子の発現が誘導されることを確認した。これらの遺伝子は長い遺伝子間領域に隣接しているので、解析の標的と成り得る。初代培養神経細胞同様、RN33B細胞分化系でもトポイソメラーゼ (トポ) IIαタンパク質量が低下し、トポIIβタンパク質量が上昇することを確認した。しかし初代培養神経細胞に比べてトポIIαの発現量低下は緩やかなため、α/βを区別しないトポII阻害剤ICRF-193で処理すると細胞が死滅してしまった。よってICRF-193を用いてトポIIβの機能を解析することが困難なことが分かった。今後、トポIIβノックアウト細胞株を構築して解析する必要がある。
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