ES細胞からのin vitro生殖細胞分化を解析する中で、誘導開始時に発現上昇する一つの非コードRNA(R53)を同定した。R53は約80塩基の最終RNA産物を生じ、その配列にはSINE-B1モチーフを含み、生体内発現は精巣の減数分裂M期相同染色体に局在するという極めて特異な特性を示した。その生理機能を調べるため、精巣器官培養に対してshRNAレンチベクターを用いたKnock-Down実験を行った結果、対照区には見られない顕著な精子細胞分化の阻害効果が確認された。この研究成果はSINE-B1 RNA転写物の非コードRNAが精子形成分化の制御に関わる機能を持つことを示す初めての実証例となった。
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