研究課題/領域番号 |
26650130
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
牧野 能士 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (20443442)
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研究分担者 |
守屋 央朗 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 准教授 (60500808)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ゲノム重複 / 比較ゲノム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、全ゲノム重複(Whole Genome Duplication, WGD)の直後に起きる大規模な遺伝子消失パターンを実験的に明らかにすることである。WGDにより全ての遺伝子が倍加することから生物の進化に重大な影響を及ぼしてきたことが分かっている。一方、WGD直後には重複して冗長となった遺伝子が大規模に消失していく事も知られている。申請者らはこれまでに、WGD後の遺伝子の消失・保持パターンはランダムではなく、量的均衡遺伝子や機能遺伝子クラスターなどの遺伝子群が脱落しにくい事をゲノム情報学的な理論解析から明らかにしてきた。本研究では、高等植物、脊椎動物の進化に重要な機能を担ってきた進化の大イベントWGDを、酵母を用いて実験室レベルで再構築することに挑戦し、申請者らの理論的予測の正しさを証明する。本年度は、3種の酵母(Saccharomyces cerevisiae, Zygosaccharomyce rouxii ATCC 42981株, Saccharomyces pastorianus)に紫外線で変異を導入しながら継代培養を行った。また、約250世代に達した酵母のゲノムシークエンスを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、3種の酵母(Saccharomyces cerevisiae, Zygosaccharomyce rouxii ATCC 42981株, Saccharomyces pastorianus)の継代培養とゲノム配列のリシークエンスを実施することができた。また、ゲノム配列が未知であったZygosaccharomyce rouxii ATCC 42981株についてはde novoゲノムアセンブリを実施し、ゲノム配列の解読を行った。2倍体のSaccharomyces cerevisiaeのゲノムは1分子シークエンサーpacbioでの配列決定を行い、1readでハプロタイプを決定するこれまでにない新しい取り組みを行った。本手法で実施にハプロタイプを決定できるヘテロ座位の組み合わせを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
得られた配列データの解析を実施し、遺伝子クラスター維持と量的均衡遺伝子維持の仮説検証を行う。また、引き続き継代培養を行い、世代数を1000世代にまでのばしたゲノムの配列決定を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に計画しているゲノムシークエンスの費用等に充てる。
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