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2016 年度 実績報告書

非モデル生物で迫る、歯の発生位置決定機構

研究課題

研究課題/領域番号 26650131
研究機関京都大学

研究代表者

細 将貴  京都大学, 白眉センター, 特定助教 (80557695)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード発生 / 非対称性 / 爬虫類 / 歯
研究実績の概要

本研究計画では、非対称な歯列をもつセダカヘビの胚発生を観察し、非対称な歯列の形成過程を詳らかにすることにより、脊椎動物一般における歯芽形成の位置決定を理解するための基盤整備を目指した。当該年度は、まず、冬季にクーリングを経験させることにより、飼育下のセダカヘビを春に交配させ、産ませた卵から胚を得るという手法の確立に成功した。これにより、実験に用いる胚を多数確保することが可能になった。しかしながら、剖検対象とする発生段階まで卵を生かしておくことに予想外の困難が伴い、セダカヘビの胚発生に関して得ることのできた成果は非常に限られた。いっぽう、コントロールとして用いた、歯列の左右対称なコーンスネークでは多数の胚を得ることができ、歯牙形成に関与する複数のマーカー遺伝子について、どの時期に下顎のどの位置で発現が見られるのかがin situ hybridizationによってほとんど完全に解明できた。これは、未だに確かな記載のない知見であるばかりでなく、セダカヘビを用いる本実験において、確認するべき時期とマーカー遺伝子を限定するために大きな助けとなる成果である。
また、台湾の一地点で集中的に実施してきたサンプリングによって得られた、共存する2種のセダカヘビの頭部CTを調査し、両者の歯列非対称性に大きな違いがあることをあきらかにした。さらに、この2種にはエサの選好性に違いがあり、非対称性の低い種はナメクジの専食者であることが行動実験により判明した。この結果は歯列非対称性とエサの特殊化に相関関係があることを示しており、セダカヘビ類に見られる歯列非対称性の種間・地域間変異を理解するうえで基礎となる仮説を実証するものと言える。調査に用いた標本のコレクションとそのCTデータは質が高く、今後さまざまな形態学的調査を実施していく予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Asymmetry of mandibular dentition is associated with dietary specialization in snail-eating snakes.2017

    • 著者名/発表者名
      Masaki Hoso
    • 雑誌名

      PeerJ

      巻: 5 ページ: e3011

    • DOI

      10.7717/peerj.3011

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Roles of maternal effects in maintaining genetic variation: Maternal storage effect.2017

    • 著者名/発表者名
      Masato Yamamichi and Masaki Hoso
    • 雑誌名

      Evolution

      巻: 71 ページ: 449-457

    • DOI

      10.1111/evo.13118

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Roles of maternal effects in maintaining genetic variation: Maternal storage effect.2017

    • 著者名/発表者名
      Masato Yamamichi and Masaki Hoso
    • 学会等名
      日本生態学会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2017-03-16
  • [学会発表] 自切頻度から捕食圧を推定する新しい方法.2017

    • 著者名/発表者名
      細将貴
    • 学会等名
      日本生態学会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2017-03-15

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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