本研究計画では、セダカヘビの胚発生過程と成体標本を調査し、非対称な歯列の形成過程を詳らかにすることを目的とした。野生動物であるセダカヘビについては卵が得難く、胚発生に関して得られた成果は限られた。しかしながらコントロールとして用いた、歯列の左右対称なコーンスネークにおいては、どのマーカー遺伝子がどの時期に下顎のどの場所で発現するのかがあきらかになった。これは、これまで確かな記載のなかった知見であり、今後の本実験において、確認するべき発生段階とマーカー遺伝子を限定する助けとなる成果である。また、成体標本のCTデータの種間比較により、歯列非対称性の程度と食性の特殊化に関連のあることが示唆された。
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