本研究課題においては、蛋白質の進化の過程で断続的に働いた自然選択を検出できる方法のアルゴリズム開発、ならびに実際の配列解析への応用としてH3N2亜型ヒトインフルエンザウイルスのヘマグルチニン蛋白質におけるN-結合型糖鎖付加部位数の変化に働いた自然選択の検出を行った。その結果、H3N2亜型ヒトインフルエンザウイルスはヘマグルチニン蛋白質にN-結合型糖鎖を付加することにより免疫から逃避し続けていることが示唆された。本研究課題で開発された方法は生物の進化機構の解明に広く応用することができ、またインフルエンザウイルスについて得られた結果は治療法や予防法を考える上で重要な知見と考えられる。
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